日本で第一号のコミュニティ財団
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設立の経緯
大阪コミュニティ財団は、大阪商工会議所が企業や個人の社会貢献活動を支援するため、米国で誕生し、発展している「コミュニティ財団 a community foundation」を視察・研究し、財団設立に要する基本財産1億円を出捐して、1991年11月12日に通商産業省(現・経済産業省)の設立許可を得、設立したものです。「主として大阪府及びその周辺地域」において事業を行いますが、全国(海外含む)を対象とする財団です。
コミュニティ財団としては、わが国第一号で、設立の際には大阪府、大阪市も各2500万円を出捐され、支援いただいております。また、役員や評議員には、大阪商工会議所や大阪府、大阪市の代表、学識経験者等にご就任いただいております。管理運営に必要な資金は、主に賛助会員(法人・個人)の皆様の会費によって支えられています。
マイ基金・アワー基金、マンション型の財団
基金の名称や目的、寄付額は自由に設定できますので、ご自分のマイ基金(My Fund)、貴社のアワー基金(Our Fund)として、基金に「お志」をあらわせます。当財団は、基金の運用や助成先の募集・選定を行います。基金寄付者は、言わば「自分/自社の財団」を持つことになります。
これを組織からみると、マンション型の財団といえます。コミュニティ財団の最大の特徴は、個々の基金が独自性を保ちながら、理事会、選考委員会、オフィス、スタッフなど、通常の財団が別個に持っているものを、共有している点です。図の通り、各戸(各基金)には表札(基金名)がついており、家庭にはそれぞれ人生(基金の使途)があります。管理人(理事・評議員)は、各戸の住民(基金の寄付者)とは特別な関係はありません。
コミュニティ財団の定義、特徴
米国の財団協議会(The Council on Foundations)によりますと、コミュニティ財団の定義は次の通りです。
- 多数の人々に支援される社会貢献活動団体で、公益を代表する地域の事情に明るい市民が理事会を構成し、運営する。
- 個人や企業等の寄付や遺贈により設置される個別の基金を管理・運営する。
- 三つのパブリック、すなわち、基金寄付者(donors)、非営利セクター(nonprofit sector)、および地域社会(community as a whole)のニーズに応える、となっています。
コミュニティ財団がいたるところで高い支持を得ているのは、それが企業や市民など地域の皆さんの「お志」を大切にしつつ、地域に密着した民間公益活動を助成し、地域の文化や福祉の向上に貢献しているからです。
<1.寄付者の基金が永遠に残る >
寄付者は、この財団の中に自分の名前を付けた基金を作ることができます。財団は、その基金が年々生み出す運用収益の使い方について、寄付者の希望を最大限に尊重します。こうした寄付者のお志は、財団が永遠に守り育ててまいります。
< 2.地域に密着した財団 >
なによりも、コミュニティが豊かになることを目指す財団です。地域のニーズに適う助成活動を行い、地域社会の振興に取り組みます。
< 3.多目的の財団 >
社会の公益に適うものであれば、助成対象は限定されません。寄付者の希望を尊重した助成を行うため、財団は基金の数だけ事業目的をもつことになります。
< 4.公益性が高い >
役員や評議員には、公共団体や公益法人の代表者など、公的立場にある人が就任します。これにより、財団運営の公益性が高く保たれます。
米国で誕生・発展、世界に広がる
コミュニティ財団の仕組みは、1914年に米国クリーブランドの銀行家であり、弁護士でもあったフレデリック・ゴフが創案しました。当時、米国では鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが1911年に財団を設立し、石油で財を成したジョンD.ロックフェラーも1913年に財団を設立していました。ゴフは、ロックフェラーのような富豪でない普通の市民でも、生涯所得の一部を出せば、同じような財団を設立できる方法があるはずだと考え、コミュニティ財団の第1号、クリーブランド財団(The Cleveland Foundation)を設立しました。
クリーブランド生まれのこの財団は、その後、多数の人々の共感を得てまたたく間に全米各地に広がり、今日、米国には600余のコミュニティ財団が設立されています。
さらにその後、カナダ、英国、オーストラリア、ヨーロッパなどにも広がり、世界では1100を超えるコミュニティ財団があると言われています。